第3回左手のピアノ国際コンクール、無事に閉幕しました


第3回ウィトゲンシュタイン記念左手のピアノ国際コンクールは、おかげさまで盛況のうちに幕を閉じることができました。

ご来場いただいた皆様、そして陰ながら応援してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。

演奏者たちの情熱と、皆様の温かい想いが共鳴し、素晴らしい会となりました。何よりも、音楽を通して様々な交流が生まれ、言葉では言い尽くせない豊かな時間を皆様と分かち合えたことを、心より嬉しく思います。


 

2月8日、コンクールはプロフェッショナル部門ソロ演奏の本選と、アマチュア部門A、B部門の審査から始まりました。

朝方には雪が降る中、会場に運び込まれたアンティークスタインウェイ。その風格は、これから始まる2日間の祭典への期待感を高めます。
プロフェッショナル部門の審査では、ピアノと真摯に向き合い、その経験に基づいた技巧を披露する参加者たちの姿に、審査員一同感銘を受けました。ピアニストたちの技が、ピアノの潜在能力を徐々に引き出し、その響きは花開く蕾のように美しく、ホール全体を包み込みました。

続くアマチュア部門A、B部門では、参加者それぞれの想いが音に乗せられ、多彩な演奏が繰り広げられました。素朴で美しい演奏から、プロ顔負けの迫力ある演奏まで、様々な表現に触れ、音楽の奥深さを改めて感じました。
A部門では、「継承と発展」というコンクールの理念を体現した2名が選出されました。新曲を委嘱し見事な演奏を披露した片又さんと、歴史的名曲を卓越した技巧で弾き切った佐藤さつきさんです。
そしてB部門では、中学1年生ながらプロ顔負けの演奏を披露した常本志帆さんが選ばれました。常本さんの演奏は、常に楽器が豊かに鳴り響き、会場中を驚かせるものでした。

2月9日、今大会で新設されたセミプロフェッショナル部門が登場しました。この部門は、右手での参加も可能な初めてのプロフェッショナル系の部門です。レベルの高い演奏が繰り広げられ、聴衆だけでなく審査員も釘付けになりました。
優勝は右手で参加した押川さんが受賞されました。また、4本の指で参加した月足さんは、作曲家に委嘱した響きの美しさに焦点を当てた名演を披露しました。

そしていよいよ、プロフェッショナル部門のコンチェルト演奏の本選です。昨日ソロ演奏とは異なり、100年前の名機スタインウェイ・ピアノが全開で鳴り響く中、課題曲であるラヴェルの左手のピアノ協奏曲による競演です。

どの演奏も素晴らしく、1位に輝いたテレンス・ル・ベイエックさんの演奏は、ソロでは何層にもレイヤーを重ねるような解釈を示し、協奏曲ではフランス人ならではのリズム感と、長身から繰り出される豪快な音が、ピアノと楽曲の迫力を十二分に引き出しており、大きな喝采を浴びました。

2位の早坂眞子さんは、細密画のような緻密さを持つ演奏で、高度な技術をもとに、独特の世界観を見事に描き出しました。陰影を巧みに操る様子は、絵画的な世界とも言える印象深い名演でした。

そして3位のキム・ウンソンさんは、躍動する演奏スタイルで、どのパッセージも喜びに満ち溢れていました。その爽やかさ、力強さ、優しさは、私たちの心に直接語りかけてくるようでした。キムさんは、入賞と合わせて聴衆賞も受賞されました。

ガラコンサートでは、演奏に先駆けて表彰式が行われました。今回から新たに「箕面市長賞」が設けられ、原田亮市長から直接賞状が授与されました。また、地元FM局の箕面FMまちそだて株式会社代表取締役社長の藤井栄治様からは「みのおFM賞」の賞状が授与されました。そして、共催いただいた公益財団法人箕面市メイプル文化財団理事長の小枝正幸様にもご臨席いただき、参加者にとって忘れられない、晴れやかな式典となりました。

ガラコンサートでは、各部門の大賞受賞者が個性豊かな演奏を披露し、ゲストとして審査員の杉浦さんと私の演奏も行いました。最後は、ウィトゲンシュタイン賞を受賞されたルイベックさんが演奏し、会場の雰囲気は最高潮に達しました。総合司会を務めてくださった吉岡邑玲さんのおかげで、素晴らしい会となりました。

実は、今回の大会はこれで終わりではありませんでした。その後、参加者や関係者が集まる懇親会が行われました。50名を想定していましたが、それをはるかに超える人々が集まり、様々な話題で盛り上がり、会場は笑い声で溢れました。参加者の顔は皆、やり切ったという清々しさと満足感に満ち溢れており、この会が多くの人々に希望を与えていることを物語っていました。

「音楽の力で人々を繋ぐ」という私たちの理念は、また一歩前進しました。

ウィトゲンシュタインが未来に向けて精一杯投げ込んだ希望を、私たちが拾い上げ、そして今度は私たちが未来に向けて精一杯投げ込む。今回、その希望を、出場者、聴衆参加の皆様が受け取ってくださったのではないかと感じています。そして皆様がまた精一杯未来に向かって、この音楽を繋いでいっていただけることを願っています。

次回の大会は、2027年もしくは2028年に、アマチュアとセミプロのピアノ部門、そしてプロフェッショナルの作曲部門を予定しています。

今回の大会もまた一歩前進できた素晴らしい会となりました。応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。そしてまた、次回の大会にもご期待ください。その間にも、今回のガラコンサートの企画や、前回大会の作曲部門映像の公開などを予定しています。これからも私たちの活動にご注目いただけると幸いです。

またお会いする日まで、皆様お元気で!

今大会の参加者の皆様、聴衆の皆様、審査員の皆様、運営スタッフの皆様、実行委員会の皆様、事務局の皆様、表彰式にご臨席賜りました原田亮箕面市長、小枝正幸理事長、藤井栄治社長、そして会にご後援してくださった皆様、並びに協賛金・募金をしてくださった皆様に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。